新着情報
- 2025年02月20日 2025競技者必携改訂について
- 2024年11月18日 2025野球規則改正について
- 2024年02月29日 グラブの取り扱いの改訂について
- 2023年12月27日 2024競技者必携改訂について
公認野球規則
5.00 試合の進行
5.07 投手
(a) 正規の投球姿勢
投球姿勢にはワインドアップポジションと、セットポジションとの二つの正規のものがあり、どちらでも随時用いることができる。
投手は、投手板に触れて捕手からのサインを受けなければならない。
【原注】投手がサインを見終わってから、投手板を外すことはさしつかえないが、外した後はすばやく投手板に踏み出して投球することは許されない。このような投球は、審判員によってクイックピッチと判断される。投手は、投手板を外したら、必ず両手を身体の両側に下ろさなければならない。
投手が、サインを見終わるたびに投手板を外すことは許されない。
投手は投球に際して、どちらの足も本塁の方向に2度目のステップを踏むことは許されない。塁に走者がいるときには、6.02(b)により反則投球となる。
(1) ワインドアップポジション
投手は、打者に面して立ち、その軸足は投手板に触れて置き、他の足の置き場には制限がない。
この姿勢から、投手は、
① 打者への投球動作を起こしたならば、中断したり、変更したりしないで、その投球を完了しなければならない。
② 実際に投球するときを除いて、どちらの足も地面から上げてはならない。ただし、実際に投球するときには、自由な足(軸足でない足)を1歩後方に引き、さらに1歩前方に踏み出すこともできる。
投手が軸足を投手板に触れて置き(他の足はフリー)、ボールを両手で身体の前方に保持すれば、ワインドアップポジションをとったものとみなされる。
【原注1】 ワインドアップポジションにおいては、投手は軸足でない足(自由な足)を投手板の上か、前方か、後方かまたは側方に置くことが許される。
【原注2】 (1)項の姿勢から、投手は、
① 打者に投球してもよい。
② 走者をアウトにしようとして塁に踏み出して送球してもよい。
③ 投手板を外してもよい(ボールを両手で保持した投手は、投手板から外したら必ず両手を身体の両側に下ろさなければならない)。投手板を外すときには、最初に軸足から外さなければならない。
また、前記の姿勢から、セットポジションに移ったり、ストレッチをすることは許されない。──違反すればボークとなる。
【注】 投手が投球に関連する動作をして、身体の前方で両手を合わせたら、打者に投球すること以外は許されない。したがって、走者をアウトにしようとして塁に踏み出して送球することも、投手板を外すこともできない。違反すればボークとなる。
(2) セットポジション
投手は、打者に面して立ち、軸足を投手板に触れ、他の足を投手板の前方に置き、ボールを両手で身体の前方に保持して、完全に動作を静止したとき、セットポジションをとったとみなされる。
この姿勢から、投手は、
① 打者に投球しても、塁に送球しても、軸足を投手板の後方(後方に限る)に外してもよい。
② 打者への投球に関連する動作を起こしたならば、中途で止めたり、変更したりしないで、その投球を完了しなければならない。
セットポジションをとるに際して〝ストレッチ〟として知られている準備動作(ストレッチとは、腕を頭上または身体の前方に伸ばす行為をいう)を行なうことができる。しかし、ひとたびストレッチを行なったならば、打者に投球する前に、必ずセットポジションをとらなければならない。
投手は、セットポジションをとるに先立って、片方の手を下に下ろして身体の横につけていなければならない。この姿勢から、中断することなく、一連の動作でセットポジションをとらなければならない。
投手は、ストレッチに続いて投球する前には(a)ボールを両手で身体の前方に保持し、(b)完全に静止しなければならない。審判員は、これを厳重に監視しなければならない。投手は、しばしば走者を塁に釘づけにしようと規則破りを企てる。投手が〝完全な静止〟を怠った場合には、審判員は、ただちにボークを宣告しなければならない。
【原注】 走者が塁にいない場合、セットポジションをとった投手は、必ずしも完全静止をする必要はない。
しかしながら、投手が打者のすきをついて意図的に投球したと審判員が判断すれば、クイックピッチとみなされ、ボールが宣告される。6.02(a)(5)〔原注〕参照。
塁に走者がいるときに、投手が投手板に軸足を並行に触れ、なおかつ自由な足を投手板の前方に置いた場合には、この投手はセットポジションで投球するものとみなされる。
【注1】 (1)(2)項でいう〝中断〟とは、投手が投球動作を起こしてから途中でやめてしまったり、投球動作中に一時停止したりすることであり、〝変更〟とは、ワインドアップポジションからセットポジション(または、その逆)に移行したり、投球動作から塁への送球(けん制)動作に変更することである。
【注2】 投手がセットポジションをとるにあたっては、投手板を踏んだ後投球するまでに、必ずボールを両手で保持したことを明らかにしなければならない。その保持に際しては、身体の前面ならどこで保持してもよいが、いったん両手でボールを保持して止めたならば、その保持した個所を移動させてはならず、完全に身体の動作を停止して、首以外はどこも動かしてはならない。
【注3】 セットポジションからの投球に際して、自由な足は、
① 投手板の真横に踏み出さない限り、前方ならどの方向に踏み出しても自由である。
② ワインドアップポジションの場合のように、1歩後方に引き、そして更に1歩踏み出すことは許されない。
【注4】 投手は走者が塁にいるとき、セットポジションをとってからでも、プレイの目的のためなら、自由に投手板を外すことができる。この場合、軸足は必ず投手板の後方に外さなければならず、側方または前方に外すことは許されない。投手が投手板を外せば、打者への投球はできないが、走者のいる塁には、ステップをせずに、スナップだけで送球することも、また送球のまねをすることも許される。
【注5】 ワインドアップポジションとセットポジションとの区別なく、軸足を投手板に触れてボールを両手で保持した投手が、投手板から軸足を外すにあたっては、必ずボールを両手で保持したまま外さなければならない。また、軸足を投手板から外した後には、必ず両手を離して身体の両側に下ろし、あらためて軸足を投手板に触れなければならない。
【問】 投手がストレッチを行なってから、セットポジションをとるまでに、両手を顔の前で接触させ、そのまま下ろし、胸の前でボールを保持した。ボークになるか。
【答】 たとえ顔の前で両手を接触させても、そのままの連続したモーションで、胸の前に下ろして静止すれば、ボークにはならない。しかし、いったん顔の前で停止すれば、そこでボールを保持したことになるから、その姿勢から両手を下に下ろせばボークとなる。
(b) 準備投球
投手は各回のはじめに登板する際、あるいは他の投手を救援する際には、捕手を相手に8球を超えない準備投球をすることは許される。この間プレイは停止される。
各リーグは、その独自の判断で、準備投球の数を8球以下に制限してもさしつかえない。このような準備投球は、いずれの場合も1分間を超えてはならない。
突然の事故のために、ウォームアップをする機会を得ないで登板した投手には、球審は必要と思われる数の投球を許してもよい。
(c) 投手の遅延行為
塁に走者がいないとき、投手はボールを受けた後12秒以内に打者に投球しなければならない。投手がこの規則に違反して試合を長引かせた場合には、球審はボールを宣告する。
12秒の計測は、投手がボールを所持し、打者がバッタースボックスに入り、投手に面したときから始まり、ボールが投手の手から離れたときに終わる。
この規則は、無用な試合引き延ばし行為をやめさせ、試合をスピードアップするために定められたものである。したがって、審判員は次のことを強調し、それにもかかわらず、投手の明らかな引き延ばし行為があったときには、遅滞なく球審はボールを宣告する。
(1) 投球を受けた捕手は、速やかに投手に返球すること。
(2) また、これを受けた投手は、ただちに投手板を踏んで、投球位置につくこと。
(d) 塁に送球
投手が、準備動作を起こしてからでも、打者への投球動作を起こすまでなら、いつでも塁に送球することができるが、それに先立って、送球しようとする塁の方向へ、直接踏み出すことが必要である。
【原注】 投手は送球の前には、必ず足を踏み出さなければならない。スナップスロー(手首だけで送球すること)の後で、塁に向かって踏み出すようなことをすればボークとなる。
【注】 投手が投手板を外さずに一塁へ送球する場合、投手板上で軸足が踏みかわっても、その動作が一挙動であればさしつかえない。しかし、送球前に軸足を投手板の上でいったん踏みかえた後で送球すれば、軸足の投手板上の移行としてボークとなる。
(e) 軸足を外したとき
投手がその軸足を投手板の後方に外したときは、内野手とみなされる。したがって、その後、塁に送球したボールが悪送球となった場合には、他の内野手による悪送球と同様に取り扱われる。
【原注】 投手は、投手板を離れているときならば、意のままに走者のいる塁ならどの塁に送球してもよいが、もしその送球が悪送球となれば、その送球は内野手の送球とみなされ、その後の処置は、野手の送球に関する規則が適用される。(5.06b4G)
(f) 両手投げ投手
投手は、球審、打者および走者に、投手板に触れる際に、どちらかの手にグラブをはめることで、投球する手を明らかにしなければならない。
投手は、打者がアウトになるか走者になるか、攻守交代になるか、打者に代打者が出るか、あるいは投手が負傷するまでは、投球する手を変えることはできない。投手が負傷したために、同一打者の打撃中に投球する手を変えれば、その投手は以降再び投球する手を変えることはできない。投手が投球する手を変えたときには、準備投球は認められない。
投球する手の変更は、球審にはっきりと示さなければならない。
6.00 反則行為
6.02 投手の反則行為
(a) ボーク
塁に走者がいるときは、次の場合ボークとなる。
(1) 投手板に触れている投手が、5.07(a)(1)および(2)項に定める投球動作に違反した場合。
【原注】左投げ、右投げ、いずれの投手でも自由な足を振って投手板の後縁を越えたら、打者へ投球しなければならない。ただし、二塁走者のピックオフプレイのために二塁へ送球することは許される。
(2) 投手板に触れている投手が、一塁または三塁に送球するまねだけして、実際に送球しなかった場合。
【注】投手が投手板に触れているとき、走者のいる二塁へは、その塁の方向に直接ステップすれば偽投してもよいが、一塁または三塁と打者への偽投は許されない。投手が軸足を投手板の後方へ外せば、走者のいるどの塁へもステップしないで偽投してもよいが、打者にだけは許されない。
(3) 投手板に触れている投手が、塁に送球する前に、足を直接その塁の方向に踏み出さなかった場合。
【原注】投手板に触れている投手は、塁に送球する前には直接その塁の方向に自由な足を踏み出すことが要求されている。投手が実際に踏み出さないで、自由な足の向きを変えたり、ちょっと上にあげて回したり、または踏み出す前に身体の向きを変えて送球した場合、ボークである。投手は、塁に送球する前に塁の方向へ直接踏み出さなければならず、踏み出したら送球しなければならない。(二塁については例外)
ランナー一・三塁のとき、投手が走者を三塁に戻すために三塁へ踏み出したが実際に送球しなかったら(軸足は投手板に触れたまま)、ボークとなる。
(4) 投手板に触れている投手が、走者のいない塁へ送球したり、送球するまねをした場合。
ただし、プレイの必要があればさしつかえない。
【原注】投手が走者のいない塁へ送球したり、送球するまねをした場合、審判員は、それが必要なプレイかどうかを、走者がその塁に進もうとしたか、あるいはその意図が見られたかで判断する。
【問】走者一塁のとき、走者のいない二塁に送球したり、または送球するまねをしたらボークか。
【答】ボークである。しかし一塁走者が二塁に盗塁しようとしたのを防ぐ目的で、第1動作で二塁の方向に正しく自由な足を踏み出せば、ボークにならない。なお投手が投手板を正規に外せば、ステップをしないで送球してもかまわない。
(5) 投手が反則投球をした場合。
【原注】クイックピッチは反則投球である。打者が打者席内でまだ十分な構えをしていないときに投球された場合には、審判員は、その投球をクイックピッチと判定する。塁に走者がいればボークとなり、いなければボールである。クイックピッチは危険なので許してはならない。
(6) 投手が打者に正対しないうちに投球した場合。
(7) 投手が投手板に触れないで、投球に関連する動作をした場合。
【問】走者一塁のとき、投手が投手板をまたいだままストレッチを始めたがボールを落とした。ボークとなるか。
【答】投手が投手板に触れないで、投球に関連する動作を起こしているからボークとなる。
(8) 投手が不必要に試合を遅延させた場合。
【原注】本項は、6.02(c)(8)により警告を発せられたときは、適用されない。投手が遅延行為を繰り返して6.02(c)(8)により試合から除かれた場合には、あわせて本項のボークも課せられる。5.07(c)は、塁に走者がいないときだけ適用される。
(9) 投手がボールを持たないで、投手板に立つか、これをまたいで立つか、あるいは投手板を離れていて投球するまねをした場合。
(10) 投手が正規の投球姿勢をとった後、実際に投球するか、塁に送球する場合を除いて、ボールから一方の手を離した場合。
(11) 投手板に触れている投手が、故意であろうと偶然であろうと、ボールを落とした場合。
(12) 故意四球が企図されたときに、投手がキャッチャースボックスの外にいる捕手に投球した場合。
【注】〝キャッチャースボックスの外にいる捕手〟とは、捕手がキャッチャースボックス内に両足を入れていないことをいう。したがって故意四球が企図されたときに限って、ボールが投手の手を離れないうちに捕手が片足でもボックスの外に出しておれば、本項が適用される。
(13) 投手がセットポジションから投球するに際して、完全に静止しないで投球した場合。
ペナルティ (a)項各規定によってボークが宣告されたときは、ボールデッドとなり、各走者は、アウトにされるおそれなく、1個の塁が与えられる。
ただし、ボークにもかかわらず、打者が安打、失策、四球、死球、その他で一塁に達し、かつ、他のずべての走者が少なくとも1個の塁を進んだときには、このペナルティの前段を適用しないで、プレイはボークと関係なく続けられる。
【規則説明1】投手がボークをして、しかも塁または本塁に悪送球(投球を含む)した場合、塁上の走者はボークによって与えられる塁よりもさらに余分の塁へアウトを賭して進塁してもよい。
【規則説明2】(a)項ペナルティを適用するに際して、走者が進塁しようとする最初の塁を空過し、アピールによってアウトを宣告されても、1個の塁を進んだものと解する。
【注】前掲〔規則説明1〕の〝悪送球〟には、投手の悪送球だけではなく、投手からの送球を止め損じた野手のミスプレイも含まれる。走者が、投手の悪送球または野手のミスプレイによって余塁が奪えそうな状態となり、ボークによって与えられる塁を越えて余分に進もうとしたときには、ボークと関係なくプレイは続けられる。
【6.02a原注】ボークルールの目的は、投手が走者を意図的に騙そうとするのを防ぐためであることを、審判員は心に銘記しなくてはならない。もし、審判員の判断で投手の〝意図〟に疑いを抱いたら、審判員は厳重に規則を適用すべきである。
全日本軟式野球連盟 競技者必携
アマチュア野球内規
次回の第1打者
たとえば2アウト、打者のボールカウント1ボール2ストライク後の投球のときに、三塁走者が本盗を企てたが得点とならないで攻守交代になったような場合、次回の第1打者を明らかにするため、球審は、打者が三振でアウトになったのか、走者が触球されてアウトになったのかを明示しなければならない。(規則 5.04a(3)、5.09a(14))
バッタースボックスルール
- 打者は打撃姿勢をとった後は、次の場合を除き、少なくとも一方の足をバッタースボックス内に置いていなければならない。この場合は、打者はバッタースボックスを離れてもよいが、〝ホームプレートを囲む土の部分〟を出てはならない。
- 打者が投球に対してバットを振った場合。
- チェックスイングが塁審にリクエストされた場合。
- 打者が投球を避けてバランスを崩すか、バッタースボックスの外に出ざるを得なかった場合。
- いずれかのチームのメンバーが〝タイム〟を要求し認められた場合。
- 守備側のプレーヤーがいずれかの塁で走者に対するプレイを企てた場合。
- 打者がバントをするふりをした場合。
- 暴投または捕逸が発生した場合。
- 投手がボールを受け取った後マウンドの土の部分を離れた場合。
- 捕手が守備のためのシグナルを送るためキャッチャースボックスを離れた場合。
- 打者は、次の目的で〝タイム〟が宣告されたときは、バッタースボックスおよび〝ホームプレートを囲む土の部分〟を離れることができる。
- 負傷または負傷の可能性がある場合。
- プレーヤーの交代
- いずれかのチームの協議
- なお、審判員は、前の打者が塁に出るかまたはアウトになれば、速やかにバッタースボックスに入るよう次打者に促さねばならない。
- ペナルティ(1)・(2)
- 打者が意図的にバッタースボックスを離れてプレイを遅らせ、かつ(1)の1)~9)の例外規定に該当しない場合、または、打者が意図的に〝ホームプレートを囲む土の部分〟を離れてプレイを遅らせ、かつ(2)の1)~3)の例外規定に該当しない場合、球審は、その試合で2度目までの違反に対しては警告を与え、3度目からは投手の投球を待たずにストライクを宣告する。この場合はボールデッドである。
- もし打者がバッタースボックスまたは〝ホームプレートを囲む土の部分〟の外にとどまり、さらにプレイを遅延させた場合、球審は投手の投球を待たず、再びストライクを宣告する。
- なお、球審は、再びストライクを宣告するまでに、打者が正しい姿勢をとるための適宜な時間を認める。(規則 5.04b(4)(A)、同(B))
ワインドアップポジションの投手
ワインドアップポジションをとった右投手が三塁(左投手が一塁)に踏み出して送球することは、投球動作を変更して送球したとみなされるから、ボークとなる。(規則 6.02a(1))
投手が投球動作を起こして両手を合わせた後、再び両手をふりかぶることは、投球を中断したものとみなされる。投球動作を起こしたときは、投球を完了しなければならない。(規則 5.07a(1))
最終回裏の決勝点
正式試合の最終回の裏かまたは延長回の裏に、規則 6.01(g)規定のプレイで三塁走者に本塁が与えられて決勝点になる場合には、打者は一塁に進む義務はない。(規則 5.08b、6.01g)
2アウト、四球暴投、決勝点で打者一塁へ進まず
最終回裏、走者三塁、打者の四球(フォアボール)目が暴投または捕逸となって決勝点が記録されるとき、四球の打者が一塁へ進まなかった場合は、規則5.08(b)のように球審が自ら打者のアウトを宣告して、得点を無効にすることはできない。
打者が一塁に進まないまま、守備側が何らの行為もしないで、両チームが本塁に整列すれば、四球の打者は一塁へ進んだものと記録される。
打者をアウトにするためには、両チームが本塁に整列する前に守備側がアピールすることが必要である(規則 5.09(c) [5.09c原注] [注 3])。しかし、守備側がアピールしても、打者は一塁への安全進塁権を与えられているので、打者が気づいて一塁に到達すれば、アピールは認められない。
守備側のアピールを認めて打者をアウトにする場合は、
- 打者が一塁に進もうとしないとき
- 打者が一塁に進もうとしたが途中から引き返したとき
である。(規則 5.08b、5.09c[5.09c原注] [注 3])
アウトの時機
アウトが成立する時機は、審判員が宣告したときではなくて、アウトの事実が生じたときである。第3アウトがフォースアウト以外のアウトで、そのアウトにいたるプレイ中に走者が本塁に達するときなどのように、状況によっては速やかにアウトを宣告しなければならない。(規則 5.08a[注 1])
アピールの場所と時期
守備側チームは、アピールの原因となった塁(空過またはリタッチの失敗)に触球するだけでなく、アピールの原因でない塁に進んでいる走者の身体に触球して、走者の違反を指摘して、審判員の承認を求める(アピール)ことができる。この場合、アピールを受けた審判員は、そのアピールの原因となった塁の審判員に裁定を一任しなければならない。
アピールは、ボールインプレイのときに行わなければならないので、ボールデッドのときにアピールがあった場合は、当該審判員は「タイム中だ」ということとする。(規則 5.09c)
ただし、最終回の裏ボールデッド中に決勝点が記録された場合、または降雨等で試合が中断され、そのまま試合が再開されない場合、ボールデッド中でもアピールはできるものとする。
審判員がインプレイのとき使用球を受け取る
3アウトと勘ちがいした守備側が、使用球を審判員に手渡したのを審判員が受け取った場合は、規則 6.01(d)を準用する。審判員が使用球を受け取ると同時にボールデッドとし、受け取らなかったらどのような状態になったかを判断して、ボールデッド後の処置をとる。また、ベースコーチが同様のケースで試合球を受け取った場合も、受け取ると同時にボールデッドとするが、走者はボールデッドになったときに占有していた塁にとどめる。(規則 6.01d)
打者の背後にウェストボールを投げる
投手がスクイズプレイを防ぐ目的で、意識的に打者の背後へ投球したり、捕手が意識的に打者の背後に飛び出したところへ投球したりするような非スポーツマン的な行為に対しても規則 6.01(g)を適用し、走者には本塁を与え、打者は打撃妨害で一塁へ進ませる。(規則 6.01g)
危険防止(ラフプレイ禁止)ルール
本規則の趣旨は、フェアプレイの精神に則り、プレーヤーの安全を確保するため、攻撃側および守備側のプレーヤーが意図的に相手に対して体当たりあるいは乱暴に接触するなどの行為を禁止するものである。
- タッグプレイのとき、野手がボールを明らかに保持している場合、走者は(たとえ走路上であっても)野手を避ける、あるいは減速するなどして野手との接触を回避しなければならない。
- 野手との接触が避けられた
- 走者は野手の落球を誘おうとしていた
- 野手の落球を誘うため乱暴に接触した
- と審判員が判断すれば、その行為は故意とみなされ、たとえ野手がその接触によって落球しても、走者にはアウトが宣告される。ただちにボールデッドとなり、他の走者は妨害発生時に占有していた塁に戻る。なお、走者の行為が極めて悪質な場合は、走者は試合から除かれる場合もある。(規則 6.01i(1))
- 次の場合には、たとえ身体の一部が塁に向かっていたとしても、走者には妨害が宣告される。
- 走者が、ベースパスから外れて野手に向かって滑ったり、または走ったりして野手の守備を妨げた場合(接触したかどうかを問わない)。
《走者は、まっすぐベースに向かって滑らなければならない、つまり走者の身体全体(足、脚、腰および腕)が塁間の走者の走路(ベースパス)内に留まることが必要である。ただし、走者が、野手から離れる方向へ滑ったり、走ったりすることが、野手との接触または野手のプレイの妨げになることを避けるためであれば、それは許される。》 - 走者が体を野手にぶつけたりして、野手の守備を妨害した場合。
- 走者のスライディングの足が、立っている野手の膝より上に接触した場合および走者がスパイクの刃を立てて野手に向かってスライディングした場合。
- 走者がいずれかの足で野手を払うか、蹴った場合。
- たとえ野手がプレイを完成させるための送球を企てていなくても、走者がイリーガリーに野手に向かってスライドしたり、接触したりした場合。
- 走者が、ベースパスから外れて野手に向かって滑ったり、または走ったりして野手の守備を妨げた場合(接触したかどうかを問わない)。
- タッグプレイのとき、捕手または野手が、明らかにボールを持たずに塁線上および塁上に位置して、走者の走路をふさいだ場合は、オブストラクションが厳格に適用される。
なお、捕手または野手が、たとえボールを保持していても、故意に足を塁線上または塁上に置いたり、または脚を横倒しにするなどして塁線上または塁上に置いたりして、走者の走路をふさぐ行為は、大変危険な行為であるから禁止する。同様の行為で送球を待つことも禁止する。このような行為が繰り返されたら、その選手は試合から除かれる場合もある。
ペナルティ
捕手または野手がボールを保持していて、上記の行為で走者の走路をふさいだ場合、正規にタッグされればその走者はアウトになるが、審判員は捕手または野手に警告を発する。走者が故意または意図的に乱暴に捕手または野手に接触し、そのためたとえ捕手または野手が落球しても、その走者にはアウトが宣告される。ただちにボールデッドとなり、他の走者は妨害発生時に占有していた塁に戻る。(規則 6.01h、6.01i(2))
投手の遅延行為
走者が塁にいるとき、投手が投手板から軸足をはずして、走者のいない塁に送球した(送球するマネも含む)場合、または、投手板上からでも軸足を投手板からはずしても、塁に入ろうとしていない野手に送球した場合には、投手の遅延行為とみなす。(規則 6.02a(4)、6.02a(8)、6.02c(8))
投球する手を口または唇につける
規則 6.02(c)(1)のペナルティに代えて、審判員はその都度警告してボールを交換させる。(規則 6.02c)
正式試合となる回数
審判員が試合の途中で打ち切りを命じたときに正式試合となる回数については、規則 7.01(c)に規定されているが、各種大会などでは、この規定の適用に関して独自の特別規則を設けることができる。
大会によっては、一定以上の得点差、たとえば、5回10点差、7回以降7点差など、得点差によってコールドゲームとし、正式試合とする特別規則もある。(規則 7.01c)